平成29年5月22日~30日に、「化学物質のリスクアセスメント実施」に関する説明会を開催しました。

なお、岡山大学における化学物質のリスクアセスメントの実施方針は、平成28年11月末の「リスクアセスメント(化学物質)」ワ-キングにて決定され、その後、安全衛生推進機構運営会議および全学安全衛生管理委員会にて了承の上、平成29年度6月より化学物質のリスクアセスメント報告・確認システム(通称:クラリス)を試行運用しています。

[化学物質のリスクアセスメント実施方針]
岡山大学における化学物質リスクアセスメントの実施方針(平成28年11月16日 決定)
岡山大学は,平成28年6月1日に施行された「化学物質のリスクアセスメント」の義務化を受けて,化学物質のリスクアセスメントを実施する。ワーキンググループの審議において,化学物質リスクアセスメントを効率的かつ効果的に実現するためには,本学が保有する化学物質の一元的,かつ,常時把握するための支援ツ-ル導入及びその定常的な運用を支援する人員と経費の確保が必要であるとの確認がなされましたので,併せて進言いたします。
1. 本学は,厚生労働省が指定する化学物質及び本学がその危険性や有害性があると認めた化学物質(以下「対象化学物質」という。)について,その使用前に,リスクアセスメントを実施する。
2. 本学は,化学物質を使用する者(使用予定がある者を含む。以下「化学物質使用者」という。)を対象として,定期的に化学物質のリスクアセスメント教育を実施する。
3. 化学物質使用者は,対象化学物質を使用する前に,リスクアセスメントを実施し,実施報告書を作成し,化学物質を管理する単位(以下「化学物質管理単位」という。)における責任者(以下「化学物質管理責任者」という。)に提出すること。なお,化学物質リスクアセスメント評価手法及び実施報告書の様式については,別に定める。
4. 化学物質管理責任者は,以下を実施する。
① 保有する対象化学物質のセーフティデータシート(SDS)を,化学物質管理単位で閲覧可能な状態で保管すること。
② 化学物質使用者が作成したリスクアセスメント実施報告書を確認するほか,その内容について責任を負うこと。
③ 実施報告書を化学物質管理単位内の化学物質使用者へ周知し,閲覧可能な状態で保管すること。
④ 実施報告書の写しを安全衛生推進機構に提出すること。
⑤ リスクアセスメント実施件数を毎月,化学物質管理単位を統括する部局長に報告すること。
⑥ リスクアセスメント結果に基づき,リスク低減が必要と判断した場合は,リスク低減措置を実施すること。
5. 部局長は,化学物質管理責任者からリスクアセスメント実施件数について報告を受け,所属事業場の安全衛生委員会にリスクアセスメント実施件数について議題提出する。

また、試行運用や実施説明会にて、いろいろな質問が寄せられたのでQ&A形式でお答えします。ご参考下さい。

化学物質リスクアセスメントのQ&A

Q1    Q.化学物質のリスクアセスメントにおける「化学物質管理責任者」はどうなっていますか?
A1岡山大学では化学物質管理規定の(管理体制)において、「部局長は指定する組織の単位ごとに、化学物質管理責任者を置く部局長が指定する組織の単位(以下「指定組織 単位」という。)ごとに,化学物質管理責任者を置くものとし,化学物質を使用する職員のうちから,1人を選任する。」とあり、毎年,学長に報告しています。化学物質のリスクアセスメントの実施では化学物質管理規定に基づいた構成単位を基礎としています。
Q2Q.医薬品などに含まれている対象化学物質については、リスクアセスメントの対象ですか?
A2リスクアセウメント実施義務から除外される対象物として、①一般消費者の生活に供する製品、②薬事法に定められている医薬品・医薬部外品及び化粧品、②農薬取締法に定められている農薬、③労働者による取り扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状または粒状にならない製品、④対象物が密封された状態で取り扱われる製品が挙げられています。いずれにしても、高い危険有害性や使用量の多い対象物質から優先順位を付けてリスクアセスメント実施をご検討下さい。
Q3リスクアセスメント支援ツ-ルの中でどれが良いですか?
A3残念ながら、ILO方式のリスク評価ツ-ルは、大学の実験研究で使用されている状況を十分に把握して作られていないという意見が多い様です。それと比較して、他のリスク評価支援ツ-ルは、より大学の実情を踏まえてリスク評価していると感じています。ただし、これらにも一長一短がありますので、現場でより使い易い方をご活用ください。さらに、定量的な方法として「Big Dr(日本化学工業協会の提供).」を使用できる環境にありますので、興味ある方は機構にお問い合わせ下さい。
Q4管理単位メンバ-が作成したリスクアセスメント実施報告に対して化学物質管理責任者が「確認」するとは、すべての報告書に対してリスクアセスメントのすべてを把握・実施して確認しなければならないのですか。
A4管理単位メンバ-が作成した実施報告書が最終報告書として有効(=十分な責任)ではないため化学物質管理責任者の確認=承認をもって最終報告書とすることを求めています。管理責任や指導的な立場でリスクアセスメントするためには、予めリスクアセスメントの義務化された意義やリスク手法などを理解する必要はあると思います。「すべて」という言葉には非常に負担がかかるという意味合いもあるように感じていますが、高い危険有害性や使用量の多い対象物質から優先順位を付けてリスクアセスメント実施をご検討下さい。
Q5化学物質のリスクアセスメント報告・確認システムの操作マニュアルはありますか?外国語(英語、中国)でのマニュアルはありますか?
A5システムの操作マニュアルにつきましては、機構HPなどで試行期間中に公開する予定です。今しばらく、お待ちください。なお、外国語のマニュアルについても、少し公開時期は遅れますが、準備したいと考えています。
Q6化学物質管理責任者は1名を選任していますが、研究室の実情として責任者が1名だけではシステム運用が難しいのですが、どうすれば良いですか?
A6化学物質のリスクアセスメント報告・確認システムでは1名に限り、責任代行者を追加登録することができます。但し、学生は責任代行者にはなれません。
Q7学生実験などの授業・実習で扱う化学物質のリスクアセスメントは誰が実施するのでしょうか?
A7初歩的な学生を対象にした学生実験では、実験内容を十分に理解している担当教員がリスクアセスメントすることが望ましいと思います。なお、高学年に進めば、学生自らが化学実験の計画から実行までを学習する場合もありますので、化学物質のリスクアセスメントも受講学生が実施する場合もあるかと思います。現時点では、化学物質管理単位とその管理責任者とする化学物質管理規定に基づいた報告書・確認システムとして設計されています。学生実験などでも十分に活用できるようなシステムを作ることも今後検討していきたいと思います。
Q8システム運用の試行期間(6/1~8/31)の後、本運用が始まる前に、入力したデ-タが消去されると聞きました。折角、リスクアセウメント実施したのに何とかなりませんか?また、その間、リスクアセスメント実施の空白ができますが問題ないのですか?
A8試行期間に実施して頂いたリスクアセスメントの最終報告書は、PDFファイルとして保存・出力することが可能です。必要に応じて、管理単位内で共有して頂ければ法律の求めるリスクアセスメント実施義務に対応したことになります。なお、化学物質のリスクアセスメント報告・確認システムは岡山大学にとって初めての試みです。システム使用デ-タの中には学内限定情報などもあり、その運用では慎重に取り扱わなければなりません。また、化学物質管理責任者およびリスクアセスメント実施者にとって使いやすいシステムとなることも重要なポイントと考えています。ご迷惑をおかけしますが、ご理解の程、宜しくお願い致します。
Q9化学物質使用者がリスクアセスメント報告システムに入力しないで、あるいは入力内容とは異なる状況で実験を行っていないかどうかを事前に知ることができないという、管理責任者のリスクについてはいかがでしょうか。
A9今回、化学物質のリスクアセウメントの義務化では、リスクアセスメント実施の義務化の他に、管理体制の整備についても言及しています。すでに、岡山大学では、化学物質管理規定を定めており、化学物質管理単位ごとに化学物質管理責任者を選任することを求めています。(化学物質管理責任者)の責務としては「化学物質が適正に管理・使用されるよう、化学物質取扱・保管責任者及び毒劇物取扱責任者に対し、必要な指揮命令を行うとともに、化学物質の管理状況等について把握し、その結果を部局長に報告しなければならない。」と明記されています。また、(化学物質使用者)の責務としては「関係法令等を遵守して化学物質を適正に使用するとともに、部局長、化学物質管理責任者及び化学物質取扱・保管責任者の講ずる措置に従わなければならない。」とも明記されています。ご参考下さい。
Q10報告の作成は、物質の使用の都度でしょうか。
A10説明会資料の中のフロ-チャ-トで例示致しましたが、対象化学物質やその使用方法が同じであればリスクアセスメントを2回する必要はありません。但し、使用方法が変わったり、新たに対象物質を使用する前にはリスクアセスメント実施する必要があります。今回の説明会で紹介したリスクアセスメント報告・確認システムでは、リスクアセスメントの実施と報告および関係者への周知を併せて行い、出来るだけ管理責任者や実施者の負担を軽減する事を目的としています。

文責:宮崎隆文(H29年7月11日)